スクー、九州にサテライトオフィスを設置。地域と深く向き合い、「次の社会」を模索する
2023年10月、スクーは熊本県熊本市にサテライトオフィス『KYUSYU Schoo SITE』を設置します。創業以来初めてとなる地域拠点を九州に置くことになりました。
なぜ、このタイミングで地域に拠点を設けるのか。そして九州という地域を選んだ理由は何か。代表取締役の森にサテライトオフィス設置の背景を聞きました。
なぜ、拠点を置く場所に九州を選んだのか?
——スクー初となる地域拠点を設置する理由を教えてください。
代表・森(以下、森):
これからの社会には、他の領域や地域にも当てはまるホリゾンタル(水平的)な課題解決方法ではなく、特定のエリアに深く入り込むバーティカル(垂直的)な方法が求められていくだろうと考えています。たとえば個人であればスマートフォン、法人ならSaaSに代表されるような、安価で多くの人にパッケージを提供するサービスで解決できる課題は徐々に減りつつあります。いろんなプレイヤーが問題解決という名の”ビジネス”を続けてきた結果、高い視点から問題を捉え、それを汎用的なサービスで解決していけるテーマ自体が減っているんですね。これからは、ホリゾンタルなサービスで取り残されている課題を、個別最適化されたソリューションによって解決する動きが進むでしょう。DXというトレンドもそれに類するものだと考えていますし、価格も相応の値付けがされていくと思います。そしてバーティカルな課題解決を実行しているプレイヤーにしか備わらないノウハウにこそ価値が生まれ、それをいろんな組織や個人が求めるようになっていくと思います。
そういった課題が多く取り残されていて、弊社が持つ遠隔教育技術との親和性が高いのが、「地域」だと考えています。
スクーは各地域との連携を2014年から進めており、現在では全国約38の地方自治体の皆さまとのお取り組みをさせていただいています。地域の方々と交流を深める中で、汎用的な学びのサービスを提供していくだけでは、地域にある複雑な課題は解決しきれないと感じてきました。より地域に密着した教育サービスや、教育以外の地域課題解決サービスを高度に組み合わせていかなければ、課題は解けないと強く思う機会が増えていました。
——地域の中でも、大阪や名古屋といった大都市ではなく、九州、さらにその中でも熊本に置くことにした理由を教えてください
森:前提ですが、熊本をピンポイントで選んだというより、九州という地域全体に拠点を置くという意思決定をしています。
九州は本州と陸続きになっていない「ひとつの島」。人口やGDPの観点で見ると、日本を10分の1スケールで再現したような場所であり、様々なことにスピード感を持って取り組む上で最適だと考えました。
そしてこれまでスクーが築いてきた人間関係や信頼関係が九州には特に多くあります。スクーの地域との取り組みは2014年の福岡市との提携を皮切りにスタートしていますし、鹿児島県奄美大島5市町村とは地方創生推進の包括的パートナーシップ協定を結び、様々な取り組みを続けてきました。
地域で新しい何かをつくりだすには、経済合理性よりも、そこで暮らしている皆さんに「スクーっていいよね」と受け入れていただき、信頼を寄せてもらえるかが重要だと思っています。こうした人間関係の基盤がより多くあったのが、九州だったのです。
また、九州の大都市といえば福岡ですが、今回は選択肢にありませんでした。今回のサテライトオフィス設置で向き合いたいバーティカルな課題は、都市部よりその他の地域に多く存在します。都市部と比較して困っている人がたとえ少数でも、住まう方々やその地域の未来を憂う人たちにとって根深い課題を多く抱えているのは、福岡よりもそれ以外の場所だろうと。
さらに「九州全体を駆け回りたい」という思いを前提としたとき、地理上でも九州の真ん中に位置し、他県への交通の便も良い熊本を選びました。今後九州各地での取り組みが進んできたときには、さらにサテライトオフィスを他県・他市に増やすことも考えています。
地域の皆さんと一緒に「次の社会」を見出したい
——地域に深く入り込むことで、何を生み出していきたいのか改めてお聞かせください。
森:10年近くにわたり地域連携を進めてきた中で、人類の在り方について考えてきたことがあります。それは、都会を再開発し続けるだけでは、次のあるべき社会を見つけるのは難しいのではないかということです。
都会は資本にアクセスしやすく、一言でいえば便利な場所です。これからも開発は進みますし、少子高齢化が進むにつれて、さらに都会へ人が集まっていくのは仕方のないことなのかもしれません。
ただ、人間関係や共に支え合うコミュニティ、日常的に触れうる自然など、都会には失ってしまったものが多くあります。経済発展を最上とした結果、都会に住まう私たちが失ってしまったものを一部の地域はまだ保存できているのです。それらは今人類社会全体が抱えている社会課題の解決に大きく寄与できる貴重な資産だと思います。
地域を都会と同質化させるのではなく、それぞれがここまで培ってきた学びを高度に融合させて、第三対案ともいえる「次の社会」を地域につくっていく。そんな考え方にこそ、地域に在るものを次代に継承し、社会全体の根深い課題を解決していくヒントがあるのではないかと。
地域に暮らす皆さんだけでなく、人類社会が幸せになるための課題解決ソリューション。学びを起点に、様々な角度から九州の皆さんと挑戦していきたいと考えています。私自身たくさんのことをお話しして学ばせていただきたいですので、ぜひお気軽にお声かけいただけると嬉しいです。
■株式会社Schoo
MISSION:世の中から卒業をなくす
VISION:インターネット学習で人類を変革する