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学びで拓く、人の可能性と人口減少社会の未来。「人的資本みらい会議」開催レポート

スクーは9月14日(木)、「人への投資」実践の第一歩を踏み出す“ミーティング”として、企業の経営者や人事担当者はじめ人材について考える人たちを集めたカンファレンス「人的資本みらい会議」を開催しました。

本レポートでは、当日の“ミーティング”の概要を、登壇者の発言を交えてご紹介します。

▼参考記事:
人的資本経営の実践に向けた「人的資本みらい会議」をスクーが開催。日本がいま、“人”へ投資する意味とは 


なぜ今、スクーが「人的資本みらい会議」を開くのか?

少子高齢化による労働人口の減少、終身雇用の崩壊、デジタル化の遅れによる経済の停滞。このような状況で、日本社会には閉塞感が充満しています。

そんな中、ESG投資の流れから注目が集まった人的資本経営をはじめ、近年耳にする機会が増えたリスキリング、キャリアオーナーシップという概念はどれも、「人という資本」で明るい未来を拓く可能性を示唆しています。

スクーも、明るい未来を拓くのは「人」の力だと信じる組織の一つです。「世の中から卒業をなくす」をミッションに掲げ、一人ひとりが学び続けて変化し続けられる環境をつくることで、様々な社会課題を連鎖的に解決することを目指しています。

一方、個人も組織も、新しい生き方・働き方をどう描くのか、どう変化していくべきか、模索し始めたばかりです。

そこで今回、“組織での学び”を切り口の一つとして、「人への投資」実践への第一歩を有識者の皆さんと共に考えるカンファレンスを開催しました。

オンライン・オフライン合わせて約1000人の方にお申し込みいただき、当日は会場参加者からの質問だけでなくオンライン参加者からのコメントも紹介しながら、スクーらしい双方向での学びの場となりました。

5つのアジェンダで考える、人口減少社会の「処方箋」

人的資本みらい会議では、人口減少社会の処方箋/キャリアオーナーシップ時代/日本人は学ばないは変わるか?/人的資本経営の現在地ーの4つのテーマに基づく、5つのミーティングを開きました。

<5つのミーティングアジェンダ>
1.労働力不足社会の処方箋とは
2.キャリアオーナーシップの時代を幸福にする条件とは
3.学び続ける組織づくりでまずやるべきこととは
4.学びの共同体づくり成功の秘訣
5.人的資本経営組織の人事に必要なものとは / 人的資本経営に、経営者が本気になる条件は

それぞれのミーティングの概要と、登壇者からの「ネクストアクション提言」を紹介します。

Keynote:人口減少社会の処方箋 〜縮む日本に「人材」という希望〜 

「生活を維持するために必要な労働力を日本社会は供給できなくなるのではないか」ー。衝撃的なレポートを発表したリクルートワークス研究所の古屋星斗氏、日本の労働市場をつぶさに見てきたクラウドワークス創業者である吉田浩一郎氏、スクーCHROの野島亮太が、「人材」と「リスキリング」の可能性について議論しました。

人口減少による構造的な労働力不足について、古屋氏は日本社会にとって大きな危機である一方、人と企業の関係が転換する契機だとも捉えています。ワーキッシュアクト(*)の事例を上げ、「1人ひとりの力を1つの仕事に囲い込むのでなく、色々な場面で発揮できるような社会にするということ。こういった芽が出つつあることに、日本発のイノベーションが生まれる可能性を感じている」と希望を示しました。

吉田氏は、高度経済成長期と現在では会社選びの認識が全く違なると言います。「不確実な未来ではなく、現在に対しての納得感ややりがいに基づいている。そういう人に対して副業を禁止したりした瞬間に、選ばれないという状況になっていることに、多くの会社が気づいてない」と警鐘を鳴らしました。

こうして「働く」という概念が新しくなっている中、学びのあり方も変化していくべきと野島。「スキルを身につける学びはもちろん、興味を持つ・得意を見つけるなどのモチベーションに繋がるような、その人自身の『生き方を選んでいくための学び』をもっと拡張させていかないといけない」と話しました。

(*)ワーキッシュアクト…本業の労働・仕事以外で何らかの報酬を得るために誰かの労働へのニーズを担う性質がある活動のこと

▼Keynoteの記録▼


Session2:雇用流動社会のカギ握るキャリアオーナーシップ 〜企業と個人の新たな関係〜

終身雇用見直しの閣議決定がSNSで紛糾するなど、雇用流動社会への不安も巻き起こっています。雇用流動社会の「キャリアオーナーシップ」を時代のキーワードと捉え、その幸福な実現のために私たちに何ができるのか、キャリア学教授で変化自在のプロティアンキャリアを提唱する田中研之輔氏、金融業界のキャリアをベースに大手企業経営に携わってきた秋田氏と考えました。

キャリアオーナーシップについて田中氏は、「キャリアは『会社から与えられるもの』から『一人ひとりが選択する』時代となってきた。変化を恐れず、やりたいことを自ら取りに行くことがファーストステップ」と熱弁。

秋田氏は、自身がキャリアオーナーシップを体現する上で「変化に対応する (アダプト)だけでなく、自分だから発揮できる価値(アイデンティティ)を意識すること、自分の可能性を閉じないために学び続けることを意識していた」と振り返りました。

また田中氏は、「これまでキャリアは個人のものだと認識されてきましたが、これは間違った理解。1人ひとりのキャリアが拓かれれば、組織の力も上がっていく。セルフィッシュな世界観ではなく、むしろみんなで作れるコラボレーション型として、キャリアオーナーシップは可能性を持つ」と提言。

秋田氏も、「自分がどんなキャリアを目指したいのか、自問自答しても答えが出てこないのであれば、色々な人の事例に触れる中で『こういうことも目指してみたい』という芽が開かれる」と賛同しました。

▼Session2 の記録▼


Session3・4:「日本人は学ばない」は変わるのか? /学ぶ組織をどうつくる?

社外学習、自己啓発「何もやっていない」人が主要国で突出している国、日本。とはいえ日本にも、学ぶ組織づくりに挑み続けている企業・組織はあります。
「日本人は学ばない」を社会ごと変えるキーポイントはどこにあるのか。「学びに向かわせない組織」の研究を手掛けてきたリクルートワークス研究所の辰巳哲子氏、著書『リスキリングは経営課題』が話題を呼んだパーソル総合研究所の小林祐児氏の討論を前提に、旭化成と丸井グループによる「学ぶ組織」の実践方法を学びました。

これまで個人の学習意欲の問題とされていた「大人の学び」について、辰巳氏は「個人だけの問題ではない。企業はどういう支援をしていけばいいのか、改めて考えていかなければならないタイミングに来ている」と指摘。

一方で小林氏は、辰巳氏の意見に賛同した上で「日本人に個を期待するのは過剰期待」とさらに鋭い意見。「人は1人で学び続けません。周りを見渡すと勉強している人が多い、だから自分もやる、といった『炭火型』(=人を経由したもらい火的な動機付け)が、日本人の学習意欲の底上げには効果的では」と提言しました。

▼Session3・4の記録▼


Session5:人的資本経営2023年総決算トーク&大質問大会

2023年の人材界隈で話題を集めた、Unipos田中弦社長による人的資本開示の徹底解説。田中氏はなぜここまで人的資本開示にのめり込むのか。人的資本開示の義務化元年となった2023年の総ざらいとともに、田中氏の熱量の真意を「LISTEN」監訳で知られるエール取締役 篠田真貴子氏が深掘りました。

議論の出発点として篠田氏は、「人的資本とは個人のスキルやWillといったもので、そもそも会社のものではなく、個人のもの」と指摘。

それを受けて田中氏は、「今までの『人を大切にする経営』は、組織に最適化された画一的 なスキルを強制的に従業員に身に付けさせて、それを会社のために使わせるというものだった。しかしこれからは、従業員のスキルやWill実現、そしてそれらを発揮する場作りにも会社が投資することで、個人の資本が会社にとっても資本になるよう促す経営が必要だ」と説明。「学びたい人や挑戦したい人に、精一杯やれる環境を整備することで、会社の運命を変える成果が生まれるかも知れない。それも人的資本経営のひとつだと思います」と、「組織での学び」への期待の言葉もいただきました。

▼Session5の記録▼

全Sessionを終えて

各セッションの最後には、登壇者が各セッションテーマに基づいたネクストアクションを提言。それらをグラレコ形式でまとめ、参加者全員にお送りしました。

△全登壇者による「ネクストアクション提言集」



日本がより良い未来を得るためには、「人への投資」にどう向き合うべきか。

この問いに明確な解は無く、各企業が問題意識を共有し、トライアンドエラーを繰り返して前進するしかありません。

だからこそ今回の「人的資本みらい会議」は、“企業・組織での学び”をテーマの1つとして掲げ、この視点で人的資本について考えました。

このみらい会議が、日本全体で「人への投資」に取り組んでいく第一歩を考える場となっていれば幸いです。


■株式会社Schoo

MISSION:世の中から卒業をなくす
VISION:インターネット学習で人類を変革する

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