強みは「人と向き合うのが好きなこと」━━文科省・コンサルを経て、スクーで実現したい「人生の目標」とは|半田博愛さん
スクーでは、これまでさまざまな場所でキャリアを積んできたメンバーが多く活躍しています。
コンテンツ部門責任者の半田博愛(ひろよし)さんは、文部科学省に入省後、コンサル業界へと転身。そこで得た経営の知見を活かすべく、教育業界へと戻ってきました。
「教育×コミュニティ×ICTの領域で自分の力を活かしたい」という思いを持つ半田さん。これまでのキャリアで培った強みや、仕事に取り組む上で大事にしている価値観、スクーで実現したいことを聞きました。
恩師の言葉をきっかけに文科省へ入省。社会維持への危機感から、経営コンサルの道へ
━━ まずはこれまでのキャリアについて教えてください。
九州大学卒業後に文部科学省に入省し、コンサル業界や政府系ベンチャーの立ち上げを経て、ICT教育支援などを行うコードタクトでCOOとして新サービスの事業開発を担当しました。今後のキャリア人生は教育・コミュニティ・ICTを掛け合わせた領域で活躍していきたいと考えていたときに、スクーCOOの古瀬からメッセージをもらったことがきっかけで、2023年11月にスクーに入社しました。
2024年1月からはコンテンツ部門の責任者として、世の中から卒業をなくすために、一人ひとりの学び手に対して最高の受講体験をもたらすコンテンツを届けることに取り組んでいます。
━━ ファーストキャリアが文科省とのことですが、昔から教育に興味があったのですか?
漠然と「豊かな人生を届けられる社会に貢献したい」という思いはあったのですが、最初から教育に興味があったというよりは、ご縁で進路がひらけた部分が大きいです。
大学時代の恩師が厚生労働省から出向していた助教授だったのですが、ある日呼び出されて、「将来は何をしたいのか」と聞かれたんです。当時は上京しようとも、教育に関わろうとも考えていませんでしたから、「地元で営業職にでも就くつもりです」と答えました。そしたら「せっかく親から真っ当に勉強させてもらったのに、そんな視座の低いことを言うとは何事だ。九大にはポテンシャルが高いのに、井の中の蛙になってしまう学生が多い。大海を知るために国家公務員試験を受けなさい」と一喝されてしまって。二つ返事ではいと答えたのをきっかけに一念発起し、結果的にご縁があった文科省に入省しました。
━━ 恩師との出会いがその後の進路を変えたんですね。文科省ではどのようなお仕事に携わりましたか?
入省後初めての上司は「ゆとり教育」などを主導されていた寺脇研さんで、彼の下で鞄持ちをしながら、生涯学習をテーマに全国の方々との対話に参加させていただきました。
折しも当時は、小泉構造改革によって義務教育国庫負担金を削減(一般財源化)すると言われ、文科省全体が疲弊していた時期。加えて厚生労働省でも社会保障費が右肩上がりで、次世代への借金が積み上がっているのを目の当たりにし、未来を担う根幹であるパブリックセクターにお金が回るように、国の経済力を高めていかねばと思うようになりました。
一方で、省庁の仕事は何十億円、ときには100億円という莫大な予算を動かしますから、数字だけ見るとインパクトがありますよね。でも社会の社の字も知らない田舎の若造だった僕には、その実感がまったくありませんでした。
もっと社会貢献の手触り感がある職場で活躍したい。かつ、パブリックセクターに還元できるような経営スキルを身につけたい。そう考えて文科省を離れ、コンサルの道へ飛び込みました。
━━ コンサル業界では主にどんなお仕事をされていましたか。
主に日系企業の海外展開の事業開発をサポートするプロジェクトに携わっていました。アジアを中心に、日系企業とアライアンスを組むことができそうな事業モデルを提案して現地と交渉、ジョイントベンチャーを作るといった、現地現物のハンズオンのコンサルをやることが多かったです。
ご存知のとおり、グローバル市場での日本のプレゼンスは著しく低下しています。どの産業分野でも必ず外資系のプラットフォーマーとバッティングしますし、外資系の方がルールメイキングのみならず、投資の量とスピードも圧倒的に速い。そんな状況で日本の国力衰退を防ぐためには、日本人と日系企業のマインドセットを変えて、教育全体を底上げてしていく必要があると感じました。
そこで、コンサルで得た経営の知見をパブリックセクターに還元したいという、文科省を飛び出した時の目的意識に立ち返り、教育業界に戻ろうと決断しました。
教育業界に戻ってぶつかった課題。自ら学ぶことの大切さを、どう届けるか
━━ 再び戻ってきた教育業界では、株式会社コードタクトに入社されました。そこで感じた新たな業界の課題を教えてください。
コードタクトにはプロダクトが大きく2つ、公教育でのICT活用を支援する「スクールタクト」と、法人向けジョブトレーニング支援クラウドの「チームタクト」がありました。私はビジネス部門を管掌し、セールスとカスタマーサクセスのマーケティングを担当しながら、初期フェーズにあった「チームタクト」事業のグロースを支援していました。
「チームタクト」事業に関わるなかで、社会人教育特有の難しさも痛感しました。社会人経験が長くなるほど、スキルを更新して活躍し続ける人、成長と負荷の間でバランスをとる人、キャリアを諦めてしまう人…と、グラデーションが出てきます。自律的に学び続けられる人もいますがそうではない人たちに、学ぶ大切さをどう届けるか。これはスクーでも共通の課題だと思います。
━━ その次のフィールドとしてスクーを選んだのは、社会人教育の難しさを解く鍵として「コミュニティ」に期待したからでしょうか?
それもありますね。コミュニティの中で人とか本とかコンテンツを通じた学びが自発的に行われ、そこでの学び合いが楽しいと思えることが、コミュニティ学習の価値ではないかと思います。
スクーは学びを切り口に人と人とが繋がり変化しあう「場」を提供していますが、このミッションは、私の人生の目標である「自分がご縁のある、心が前向きに動けない人の悩みに寄り添い、その人にあった共感と伴走を継続すること」とも重なる部分が大きいと感じています。
また、スクーは「世の中から卒業をなくす」というミッションの元、社会貢献と経済成長によりコミットしていると感じます。ダイナミズムとか社会的なインパクトといった点で見ると、手触り感を得やすいな、という印象です。
とあるコミュニティとの出会いをきっかけに、自己と他者との向き合い方が変わった
━━ 経歴を振り返った上で、ご自身の強みはどんなところだと思いますか?
あえて挙げるとすれば、人と向き合うのが好きなこと。自分が向き合っている相手に対して、何ができるのかを考えることが究極的に好きなのです。また、対話によって共感を得ながら、新しいことを生み出す流れを比較的作りやすい性格なのではないかなとも思います。
━━ 「人と向き合う」ことを大切にされている理由を教えてください。
僕はもともと自己肯定感が低くて、相手が自分の発言や考えを認めてくれないかもしれないと思ったら、コミュニケーションをシャットアウトしてしまう消極的な性格でした。恩師やコンサル時代の上長など、引き上げてくれる人に恵まれてはいたものの、30代半ばごろに伸び悩みを感じるようになって。モヤモヤしていたときに、ドイツの精神学者・エーリッヒ・フロムの『愛するということ』をコア書籍としたコミュニティに出会い、これまでいかに自分に対して理解を向けていなかったかを痛感したことで、自己への向き合い方が劇的に変わったんです。
自分に対する理解が進むと、不思議なことに相手のことも理解しやすくなりました。形式的なコミュニケーションではなく、自分が感じたことをそのまま返す素直なコミュニケーションができるようになり、共感を生んで次の会話に繋げる循環ができるようになりました。
多様なメンバーを束ねて「価値提供できる組織」をつくり、人々の学びを後押ししたい
━━コンテンツ部門の責任者(マネージャー)として組織と作り上げている最中かと思いますが、メンバーと接する上で心がけていることや、理想とする組織像はありますか?
人あっての組織ですから、いろんな特性やバックボーンを持った人がいていいと思っています。そうした多様なメンバーが、社会へきちんと価値を提供できる一丸の組織となれるよう、一人ひとりと向き合うことに僕の時間を使っていきたいです。
メンバーとの実際のコミュニケーションでは、まずは相手の意見に傾聴し、自分の意見を伝えるときは「僕からはこう見えます」と伝えるように心がけています。僕はあくまで情報を置きにいき、その情報をどう受け取るかは相手に任せています。
━━ 最後に、半田さんが今後スクーで実現したいことを教えてください。
僕の人生の目標は「自分がご縁のある、心が前向きに動けない人の悩みに寄り添い、その人にあった共感と伴走を継続すること」です。僕らを待ち受ける先の未来は、気候変動などボラティリティが大きい時代です。厳しい環境の中でも、1人でも多くの人が自分の人生を自分の手で選び取って生きていけるように、学びの後押しができたら嬉しいです。
■株式会社Schoo
MISSION:世の中から卒業をなくす
VISION:インターネット学習で人類を変革する