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2024年上半期の注目ニュースと人気授業で振り返る、ビジネスパーソンと時代の気分| Schooレポート vol.4

Schoo エバンジェリスト 滝川麻衣子

6月も中盤を迎え、早いもので2024年も前半を終えようとしています。国内では元旦から能登半島地震という大きな災害から幕を開けた今年。

非課税投資枠が大幅に増えた新NISAのスタートや止まらない円安、ChatGPTの新モデルはじめ、アップルやGoogleなどメガテックがしのぎを削る生成AIの新サービスなど、ビジネスパーソンにも関係の深い話題も目白押しでした。

そんな2024年前半、「社会人の学びのトレンド」はどう動いたでしょうか。

今年上半期で筆者が選んだ注目の人材系ニュースと、スクーで実際に視聴された授業ランキングをベースに、ビジネスパーソンをめぐる上半期のトレンドを、振り返ってみたいと思います。


退職代行と「わかりやすい伝え方」

新年度のスタートする4月は新入社員が職場にやってくる時期でもありますが、さっそくの退職代行サービスの利用が今年、話題になりました。

4月早々から「退職代行」がXのトレンド入り。特に注目されたのが、「24卒だけど入社1日で辞めた」「研修中に辞めた」など、この4月に入社したばかりの新入社員の退職でした。

今や、内定が出た時期から、転職サイトに登録が当たり前の時代。労働市場でとりわけ若手は人手不足で、「合わなかったら辞めても次は見つかる」という気分が広がっているのは事実ありそうです。

ところで、この話のポイントは、4月早々の退職以上に、自ら退職を申し出ずに「退職代行」に頼むという「辞め方」です。

退職代行は文字通り、会社に対する退職の手続きを本人に代わって全て引き受けてくれるサービスです。退職を渋られたり、引き留められたり、責められたりするのでは…という心情的な負担や交渉の負荷を引き受けてくれるというメリットがあります。

それだけ「言いにくいことを伝える」コミュニケーションに、ストレスを感じる人が多いと言えそうです。

若者に限った話ではないですが、コミュニケーションに課題を感じている人、学びたい人が多いということは、実はスクーの「2024年上半期に人気だった授業」ランキングにもはっきりと現れています。

人気授業トップ10をテーマ別でみると、コミュニケーションテーマが半分を占めることが判明。具体的には「『何が言いたいのかわからない』と言われなくなる」が個人向けでも法人向けでも2位にランクイン。さらに個人で最もみられた授業(1位)は「『まわりくどい』を脱する3秒の伝え方」です。

いずれもコミュニケーションの悩みに向き合う、特に「伝え方」の授業が、視聴されていることが見て取れます。

円安に新NISA…「将来とお金の話」

2024年3月に、日銀はマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切りました。世界的な資源高騰、さらには円安ドル高の流れも追い風に、食品やエネルギー価格が上昇。私たちにとっても、物価高が身にしみる上半期となりました。

一方で、物価上昇に、賃金アップは追いついておらず、実質賃金は4月時点で25か月連続減少という状態が続いています。

そんな中、1月にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)は、金融商品としてはかつてない注目を集めています。日本証券業協会によると、証券会社10社の2024年1-3月の新規開設口座数は、170万件で前年同期比3.2倍に大きく増えています。

相次ぐ物価高に円安/利上げ、それに対して収入が思うように伸びていない現状に加え、少子化は止まりません。少子化が進めば納税者は減りますから、社会保障制度の今後は不透明。

さらに高齢化で人生100年時代ともなれば、「将来のための資産形成をなんとかしなければ」という気持ちになる人が増えるのも、自然なことでしょう。

「資産形成」への関心の高まりは、スクーの人気授業ランキングからもみて取れます。

2022年から2024年上半期までの、人気授業TOP10を学習テーマで比較すると、2024年に初めて「投資」が3位にランクイン。AIやPCスキルといった、人気のデジタル系を上回っています。

ニーズの高まりを予想して、新しいコースがスタートしたこともありますが、これがしっかり上位にランクインしていることからも、「お金」について考える人、もっと知識が必要と感じた人が増えているのは事実でしょう。

円安ドル高、利上げ、物価上昇は下半期も引き続き、私たちの生活に大きな影響をもたらします。

お金の知識、金融リテラシーが、これからの時代、ますます必須スキルになることは、間違いなさそうです。

増える中途採用の理由

もう一つ、今後も広がる雇用流動化社会を象徴し、今後の「会社」や「組織」の変化に大きく関わる動きとして、筆者が注目したのが日本経済新聞のこちらのニュース中途採用比率が最高37% 7年で2倍に、23年度計画 - 日本経済新聞です。

こちらによると、日経新聞がまとめた採用計画調査で、2023年度の採用計画に占める「中途採用」の比率は過去最高の37%超。2016年度からの7年間で倍増しています。

新卒一括採用という、日本の雇用のスタンダードが、大きく変容を遂げていることが、浮き彫りになりました。

私は新聞社やウェブメディアで長年、企業取材を続けてきましたが、そこを通してみても、特に日系大企業は「プロパー」と呼ばれる、新卒から採用した人材を、育成でも昇進でも優先してきました。

企業合併でも「どちらの企業出身か」を非常に重視して組織を組成。中途採用だと役員になれない…などというのは、つい最近でも珍しい話では全くなかったのです。

日本は女性の管理職比率が低いことで知られていますが、新卒からのキャリアという意味でも、日本の大手企業は、似たような属性の人で固める「モノカルチャー」が強かったのです。

ここにきて、中途採用を増やしている背景には、少子高齢化による構造的な人手不足と、デジタルトランスフォメーションが進んだことにより、専門人材を急速に増やしたいというニーズの高まりがあるのです。

中途採用激増の時代に起こること

筆者が注目するのは、こうした前例のないレベルでの中途採用比率が高まると、組織のあり方、組織カルチャーの作られ方も変わるだろうということです。

ジェンダーや年齢にとどまらず、キャリアバックグラウンドの多様性も進むことから、コミュニケーションのあり方や、異文化同士が認め合うインクルージョンの重要性も高まるでしょう。

慣れない組織運営、異文化の相互理解に、摩擦も起きるかもしれません。しかしながら、そこを乗り越えていくことは、やはり人手不足で進む、国籍の多様化にも、活かされていくことになると思います。

また、同質性の高いモノカルチャー組織ゆえに、変化の時代で苦戦する日本企業にとっても、大きな転換点になることが期待されます。

「中途採用」の増加だけが理由とはもちろん言えませんが、「好かれる人のコミュニケーション術」の授業は、2024年上半期ランキングで、個人/法人ともに4位と上位にランクイン。「ファシリテーションで空気を変える3つの視点」も個人の3位と、非常に観られています。

職場において「良好な人間関係」「円滑なやり取り」が、大きな関心事になっていることは間違い無いでしょう。

人間関係やコミュニケーションで悩んだことがないという人は、まずいないと思います。

そんな社会で、スキルや考え方の習得で摩擦や悩みを乗り越えることは、非常に前向きなアプローチ。学びが、前向きに進もうとする人たちの、一助になればと願っています。

ちなみにスクーでは、多様性や包摂性を学ぶ授業も取りそろえています。

こうした授業のニーズがますます高まる時代が来ていることを、時代の変化を俯瞰して捉えてみると、ひしひしと感じるのです。

それではまもなく幕をあける2024年後半も、社会人の学びを武器に、恐れることなくことなく進んでいきましょう。


■株式会社Schoo

MISSION:世の中から卒業をなくす
VISION:インターネット学習で人類を変革する

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