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【未来の本屋研究所プロジェクトレポート】次世代の本屋のあり方とは?本屋を「まちの人々の新しい繋がりの場」として再発明する

スクーは2022年から「未来の本屋研究所」などのプロジェクトを通して、次世代の本屋のあり方を模索しています。

その取り組み第2弾として、2023年9月、スクー初のオリジナル本屋「会話の多い本屋さん」を吉祥寺に期間限定オープン。多くのお客様と関係者の皆さんにご協力いただき、無事に1ヶ月間の営業を終えることができました。

今回は「会話の多い本屋さん」に携わった方々への感謝の気持ちを込めて、取り組みを通して得られた気づきや今後に繋がる学びを紹介します。


「人々が本屋の“消費者”から“協力者”になることが、本屋に人を集める」という仮説

本屋は昔から、地域の人々の生活に根ざした「学びの拠点」とされてきました。ところが近年はECサービスの台頭などの影響もあり、地方だけではなく都心でも次々に本屋が閉店。その数は20年前と比べて半減し、今も減少傾向は続いています。

これについて私たちは、本屋が従来の「本を買う場所」を超えて「ともに学び、創り、交流する場所」へと進化することで、新しい本屋と人々の関係を結ぶことができるのではと考えました。

つまり「お客さんとして本を買いに訪れる」だけではなく、「自ら主体的に本屋を共創・運営する」ユーザー体験を生み出すことで、本屋にもっとたくさんの人が集まるのではないか」という仮説を立てたのです。

この仮説を検証するために作ったのが、「会話の多い本屋さん」というコンセプトです。

「会話の多い本屋さん」をSchooユーザーやお客様と“共創”

社会人向けオンライン学習サービス「Schoo」の生放送を通して本屋やクリエイティブ、コミュニケーションに関するプロたちと受講生が協力し、「会話の多い本屋」を実現するためのアイディアを出し合いました。また、受講生の中から募った約20名の有志コミュニティメンバーには、「会話の多い本屋さん」の店員として店舗運営にも参加していただきました。

▼本屋ができるまでのプロセスはこちら

そして生放送授業で生まれたアイディアをもとに、様々な形の「会話」に溢れた本屋さんができました。ここではお客様も、本屋を作る“参加者”。訪れた人がその場でPOPを書き、皆の力で少しずつ本屋を完成させていきました。

他にも、見知らぬ誰かと本を贈り合う「文通BOOK」は、第二回授業で出てきた「自分のために買うのではなく、次の人に本を贈る」というアイデアから実現しました。また「文通BOOK」という企画名は、有志コミュニティメンバーが考えたものです。

▼詳しい店内の様子は「会話の多い本屋さん」訪問レポートをご覧ください

「会話の多い本屋さん」1ヶ月間の営業は盛況

看板を見てふらっと立ち寄った方や、SNSやWebメディアを見て来店してくださった方、Schooのユーザーさんや先生など、たくさんの方に来店いただきました。

△営業中の様子
△企画サポーターとしてご協力いただいたブックコーディネーターの内沼晋太郎さん(左)、
人気授業シリーズ「ビジネスを10Xにする数学的思考力」の鈴木伸介先生もご来店(右)
△スクー代表の森も1日店長として店頭へ。
「行列のできるインタビュアーの聞く技術」の授業を担当された宮本先生と。

お客様の中には

「最近本屋から足が遠ざかっていたけど、『会話の多い本屋さん』というコンセプトが面白そうだったので入ってみました」

と言ってじっくり店内を見てくれた方や、

「本屋で紙の本を買うのが久しぶり」

と言って数冊まとめて購入してくださった方もおられました。

またユーザーと本屋を共創するという新規性や、「静かなはずの本屋なのに会話が多い」というコンセプトの意外性が話題を呼び、メディア関係者の方々にも来店いただきました。

▼複数のメディアでご紹介いただきました(以下、一部を抜粋)

「会話の多い本屋さん」というコンセプトが生み出した、新しい価値

「会話の多い本屋さん」で生まれた会話は必ずしも本についての会話だけではなく、本から派生したその人の日々の思いや、価値観や、人生の出来事の話でした。そのような会話が初対面の人とも自然にできるのは、本が人と人の間を繋いでくれたから。商品としての価値はもちろん、“場”を作り出すものとしての本の可能性を感じました。

店員とお客様の会話の様子から、「本に囲まれて気軽に話ができる場所」には一定のニーズがあると、手応えを得ることができました。

■書店員 西部さんにインタビュー

今回のプロジェクトでは、「会話の多い本屋さん」を一緒に作っていく書店員チームメンバーを集め、メンバーの方々に書店員として店舗での接客もしていただきました。そのお一人である西部さんに、お話を聞きました。

ーー営業期間中、印象に残ったお客様との「会話」はありますか?
近くに住んでおられるという女性が来店されて、最近吉祥寺に引っ越してきたことや高校生の息子さんのことなど、色々なお話をしてくださりました。「うちの息子は哲学が好きで…」と盛り上がって退店された1時間後に、息子さんを連れて再来店してくださり、息子さんとも本の話をしました。息子さんには本のPOPも書いてくださり、最終的に哲学に関連する本を4冊購入いただきました。
もう一組、通院の帰りにフラッと来店されたという女性二人組がいらっしゃったのですが、身の上話をして「今の状況にあう本はないですか?」と聞いてくれました。美輪明宏さんの本をおすすめしたのですが、喜んでいただけてよかったです。
どちらも初対面のお客様にも関わらず、本の話だけではないその人の生活に触れる会話が自然とできたことに、驚きながらも嬉しい気持ちになりました。

ーーご自身が企画したイベントも店内で開催されましたが、やってみていかがでしたか?
“ブックホームズ“というゲーム型読書会を実施しました。店内にある本を書名・著者を隠して紹介し、他の人が当てるというものだったのですが、読書会をきっかけに知った本を買って帰ってくださる方が多かったです。こうしたイベントがあると、本屋に足を運びやすいかも知れないなと改めて思いました。

△西部さんの起案で実現した「ブックホームズ読書会」の様子

ーー「会話の多い本屋さん」というコンセプトについて、営業してみて気付いたことはありますか?
他の商品だと、売り手の買わせたいという気持ちが透けて見えると買う側は心を閉ざしてしまいがちですが、不思議なことに、本だとそうはならないんですよね。会話の流れでこちらが一歩踏み込んで「それならこういう本も面白いですよ」とお勧めすると、お客様ももう一歩踏み込んでご自身の話をしてくれることが多かったです。
実は、人は本を誰かに勧めて欲しいのではないか?と思いました。コンシェルジュのような人がいると、本に出会いやすくて良いかも知れません。

営業を通して得られた気づきと見えた課題、今後のSchooの挑戦

1ヶ月間の営業によって、「本屋に協力・参加する」という新しい体験を通して本屋が今まで以上にまちの人々が集まる“居場所”の一つになる可能性があること、また、人々の繋がりの中から新しい学びが生まれるポテンシャルを確認できました。

一方で、本の販売収益だけでお店を存続させていくことの難しさも痛感しました。本を販売するためには人件費や場所代などの費用がかかるため、本屋を永続的に運営していく場合、本屋ビジネスの粗利の低さは大きな課題となります。だからこそ本屋単体で収益を見込むのではなく、もっと広い視点で行政や企業などを巻き込み、「街の居場所」としてビジネスモデルを再発明していく必要があると考えます。

今回検証した本屋のポテンシャルや得られた知見を活かし、引き続き新しい価値や社会課題解決を検討していきます。株式会社Schooの次の挑戦も楽しみにお待ちください。


■株式会社Schoo

MISSION:世の中から卒業をなくす
VISION:インターネット学習で人類を変革する

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