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人的資本経営の実践に向けた「人的資本みらい会議」をスクーが開催。日本がいま、“人”へ投資する意味とは

スクーは9月14日(木)、企業の経営者や人事担当者はじめ人材について考える人たちが集まるシンポジウム「人的資本みらい会議」を開催します。シンポジウムは全てのセッションを「ミーティング」と位置付け、登壇者と参加者が同じテーマについて考える「拡大会議」として展開します。

なぜいま、日本は人的資本へ投資をすべきなのか。そして、スクーがこのようなシンポジウムを開催する意義とは——? 本シンポジウムのアドバイザーであるUnipos CEOの田中弦氏と、Schoo CHRO兼CLO(Chief Learning Officer)の野島亮太が対談しました。


「人的資本みらい会議」を、人的資本経営の出発点にしたい

——なぜ、スクーが「人的資本みらい会議」を開催することになったのでしょうか

野島亮太(以下、野島):当社が創業以来、学びによって社会課題を解決するために事業を展開してきた経験から、社会課題解決のカギを握るのは、人への投資、人の価値を最大化していくことだと考えています。

近年は日本でも人的資本経営の重要性がうたわれているものの、各企業が人的資本にどう向き合い、何をすべきなのかはまだ手探りの状況にあります。

そこで、人的資本経営の未来像を多くの皆さんと一緒に考え、具体的に動き出す出発点になるような場をつくりたいと思い、「人的資本みらい会議」を開催するに至りました。

田中弦氏(以下、田中):僕は今回、アドバイザーという立場で人的資本みらい会議に参加します。

各企業の人的資本開示の内容を見ると、日本企業の従業員エンゲージメントスコアは先進国の中でも低い傾向にあり、企業による人への投資も欧米よりはるかに少ないのが現実です。

逆に言えば、いまから人へ投資していけば、日本企業の伸びしろはまだまだあるのです。設備などの有形資産への投資は限界を迎えていますから、大きな無形資産である人へ投資することで、会社が飛躍的に変わる可能性があるのではないでしょうか。

自社の企業価値を上げる指標を見極め、情報開示する

——日本でも、人的資本の情報開示をする企業が増えています。現状をどう感じていますか。

田中:僕は6月末に開示された約2,300社の有価証券報告書のうち、すでに約1,900社分に目を通しました。その中で、人的資本にまつわる情報の大半は、女性管理職比率などの実績報告に留まっていて、人への「投資」については書かれていません。

その一方、課題を見出して、人的資本へこのように投資をして解決を目指す、と明確に書かれている「課題先行型」企業も少数ながら存在します。このように、人に関する戦略、実績、目標をストーリーで語る必要があると思います。

野島:おっしゃる通りですね。投資とは、目指したい理想と現実とのギャップから見える課題を克服して成長するためにするものですから。

田中:女性管理職比率などの指標がいまは芳しくなくとも、その現状を今後の戦略や目標、投資の方針とセットで開示している企業は素晴らしいですよね。それだけ課題があるということは、解決できれば大きく飛躍します。このように課題解決型で説明したほうが、投資家や従業員にもコミュニケーションしやすいのではないでしょうか。

悪いデータは開示すべきではないと考える企業もあるかもしれませんが、投資したら相応のリターンが期待でき、自社の成長に繋がる指標であれば、現状の数値が悪くとも開示していいと思います。逆に、その企業の競争力や企業価値と紐づかない指標は開示する必要はありません。

野島:経営戦略や対峙しているマーケット、組織の現状なども会社によって違いますから、開示すべき内容も各社各様ですね。各企業がその内容を見極めていくことが重要ですし、キーとなる指標を見つけられた企業は競争力が増すと思います。

田中:そうですね。会社のフェーズも変わりますから、ビジネスの状況に応じて、人的資本の開示内容は3年に1回くらい変えてもいいと思います。

国が定めた開示ルールも、細かい項目までは決められていないんです。意図的に自由度をもたせて、企業側が自社の価値を上げるための人的資本経営を考えることが重要だとしています。

日本企業全体として、開示の仕方はまだまだ改善の余地があります。各企業がお互いに学び合えるといいですね。

——日本企業が人的資本経営を実践して企業価値を上げていくにあたり、意識すべきことはなんだと思いますか。

野島:まずは、いまこそ人への投資を始めるべきだと考えています。今回は国の動きが早く、さまざまな制度や方針のスタートが早々に切られました。これは、日本企業にとってよいきっかけになると思うんです。

スクーは2011年の創業以来、事業を通して学びの機会を提供し、誰しもが学び続ける世界の実現に向けて動いてきました。しかし創業間もない頃は、まだ日本全体にその潮流がなかったため、苦労した時期も少なからずありました。ところが、ここ数年でグローバルレベルの大きな波があり、国内でも人的資本投資やリスキリングを促進する流れが起き、当社にとっては追い風になっています。国が動くと、物事は一気に変わると体感しているところです。

田中:人への投資は、息の長い話です。成果が出るのは10年後、20年後かもしれません。開示内容を意識すると短期視点に偏りがちですが、次世代までを見据えて根気強く取り組むことが重要ですね。

野島:同感です。人へ投資をして人の価値を最大化し、事業を拡大して会社を成長させることを本気で信じ抜き、長期間やり切れるか。いまから10年、本気で人へ投資した企業と、投資をしなかった企業では大きな差が生まれるでしょう。そのターニングポイントがいま訪れていると感じます。

学びには、従業員どうしの「繋がり」が欠かせない

——スクーの事業領域でもある「学び」を、人的資本経営においてどう捉えるべきでしょうか。

野島:学びの機会を提供するだけでは、従業員の学ぶモチベーションは高まらないという難しさがあります。学びは企業文化やキャリア設計など、ほかの要素と密接に関係しているのです。人的資本経営全体の中で学びを捉える必要がありますね。

理想は、従業員一人ひとりが学び続けて自分を成長させようとする企業文化を醸成することなのですが、この実現が本当に難しい。

ただ、従業員の皆さんが自発的に学んでいる企業を見ると、共通点として「社内の繋がりが強い」ことが挙げられます。このような企業では、学ぶ機会や場を提供すると自然と学び合うんですよね。

田中:従業員どうしの繋がりや連帯、帰属意識は学びに欠かせないと思います。これは、従業員同士がオープンにお互いの良い行動を称賛してシェアする当社のサービス「Unipos」の導入企業を見ていて感じることです。

従業員がライバル関係でノウハウが共有されないような企業でも、繋がりをつくってあげれば、情報交換をして「チーム」になるんです。ひとりの経験や努力だけで身につくノウハウよりも何倍もの知見が備わりますから、繋がりは学びに相乗効果をもたらすと思うんです。

野島:学び始めることも、学び続けることも繋がりが必要ですね。ひとりでも学び続けられる人は、100人にひとりくらいしかいないでしょう。

社内の同僚や憧れている先輩が学んでいるから自分もやってみよう、と他者からきっかけを得ることは多くありますし、ほかの人と学ぶと多様な解釈も得られます。田中さんがおっしゃるように、ひとりでインプットするより学びの幅が広がりますね。

この「繋がり」は、自然発生的にできるものではありません。学びが活性化している企業は例外なく、社員どうしの繋がりをつくる企業文化を経営陣を中心に長い期間かけて育んでいるんです。理念や行動指針に掲げ、さまざまな施策を行っています。

田中:日本企業は驚くほど社員の繋がりがなく、個別最適化されていると感じます。ほかの支店の社員と話したことがないことも珍しくありません。

しかしながら、何が起きるかわからない世の中になり、いまのビジネスが急に縮小したり、異業種から突然新たな競合が参入したりすることも当たり前のように起こります。その時に、自分の仕事しか知らないと太刀打ちできませんよね。社員同士の繋がりは、企業が持続的に成長していくうえで欠かせないものだと思うのです。

日本全体でトライアンドエラーを繰り返して未来を創る

——日本は今後、人への投資に対してどのように向き合っていくと、より良い未来が切り拓けるでしょうか。

野島:明確な解がないテーマだからこそ、各企業が問題意識を共有して、トライアンドエラーをしながら前に進むことが必要です。今回開催する「人的資本みらい会議」を、その第一歩を考える場にしたいですね。参加いただく皆さんにとって、動き始めるきっかけをつくりたいと考えています。

田中:この会議の面白さは、“組織で学ぶこと”がテーマのひとつとして掲げられていることです。この視点で人的資本について考える機会は貴重ですね。

これまでの人的資本関連のカンファレンスやセミナーは入門編が多かったと思うので、「人的資本みらい会議」は、実践編の第一弾になると思います。

日本において、人が最強の伸びしろをもっています。自社が投資して最大のリターンを得るためにはどういう投資が必要であり、どのように実践していくのかを日本全体で考えていきたいですね。


■株式会社Schoo

MISSION:世の中から卒業をなくす
VISION:インターネット学習で人類を変革する

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